ウソ=AIという危うい構図
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奈良市議のへずまりゅう氏が投稿した写真に対して「AI合成ではないか」と疑惑の目を向ける動きが直近であった。
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真相はなんとも言えないものの、人々が何かに疑惑を向ける際に「AIだ!」と叫んでいることには危機感を覚える。本件とは離れて「AIフェイク」の問題は確かにあり、何が正しい情報なのか信じるのが難しくなっている。一方で、それがゆえに「何か疑わしいもの=AI」となってしまうと、適切な利用の障害にもなりうる。
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ウソをつくにも方法はさまざまあり、写真で言えば従来的な画像処理ソフトでも十分な加工ができる。あるいは「撮影者本人が想定していないウソ」もあり、デジタルカメラはただ光を捉えるだけでなく、イメージセンサーの情報を画像に変換する処理工程がある。特にiPhoneなど最近のスマートフォンカメラは1回の撮影に際して何枚か連写し、ユーザーの知らぬところでいい感じに合成したりもしている。レンズのスペックを超えたデジタルズームをすれば、ぼやけたところをそうした計算技術ではっきりさせたり、いっそAIで描いてしまったり、というものもある。
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ある側面では「AI=もはや一般人では敵わない頭の良さ=正しい」とも崇められ、ある側面では「AI=現実の歪曲=フェイク」とも敵視される。どちらもAIに対する捉え方として適切とは言えないが、そう捉えている人が一定数いることも事実。実態に即した理解を広めることの難しさを感じる。(井上)
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