ボーカロイドと火星人 [ITmedia NEWS アンカーデスクマガジン 月曜日版 2017/8/7]


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◆◆◆      月曜日版:ニュース トピックス
◆◆                               2017.8.7
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 http://www.itmedia.co.jp/news/ 

ITmedia NEWS アンカーデスクマガジン月曜日版は、おさらいしておきたい先週の
ニュースをご紹介します。

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         ウィークリートピックス(2017/7/31〜8/7)
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◆マイナンバーカードが診察券の代わりに 総務省が検討
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1707/31/news057.html 
診療所ごとに異なる診察券を1枚のマイナンバーカードで代替する方針を、総務省が
検討。受付でマイナンバーカードを提示すると、診察券の代わりに使えるように。

◆ロボットが池に“身投げ” その理由が判明
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1707/31/news067.html 
ワシントンD.C.のショッピングモールでセキュリティロボットが“身投げ”した問題
について、開発元企業が原因を発表。
仕事の過酷さを苦にした投身自殺――ではなかったようだ。

◆Flash終了へ DMMの「艦これ」「とうらぶ」は「対応を協議中」
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1708/01/news108.html 
Flashの開発・提供が20年末に終了。Flashを活用したDMMの人気ゲーム「艦これ」
「とうらぶ」は「対応を協議中」という。

◆『AIに聞いてみた』の疑問点を「NHKに聞いてみた」“AI”から受ける印象と実態
の「ちぐはぐさ」
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1708/02/news035.html 
「40代ひとり暮らしが日本を滅ぼす」――そんな“AIの提言”を紹介し、ネット上で
話題を呼んだNHKの『AIに聞いてみた』。不明な点を、NHKに聞いてみた。

◆有給休暇「日数増やして」より「買い取って」 休めない理由は
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1708/02/news031.html 
有給休暇の「取得率100%」や「日数増加」を望む人よりも、「買い取ってほしい」
人が多い――BIGLOBEが調査。

◆ビットコイン取引、順次再開 分岐したブロックチェーン「支障なく安定稼働」
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1708/02/news126.html 
日本国内のビットコイン取引所13社が1日から停止していたビットコインの受け入れ
や引き出しを再開。

◆「VALU」やめました やめるのは、とても大変でした
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1708/04/news024.html 
話題のネットサービス「VALU」を安易に始めてしまい、やめるまで四苦八苦した筆者
の実録。



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  コラム:ボーカロイドと火星人
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 ボーカロイド「初音ミク」の発売から今年で10年が経つ。彼女が市場に出た2007年
8月31日、私は高校生だった。

 小さな田舎町で最初に彼女の存在を知ったのは音楽マニアや楽器オタクの子たち
で、冬には自分で曲を作る子もちらほらと現れはじめていた。

 「メルト」や「ワールドイズマイン」などのオリジナル曲をきっかけに、瞬く間に
彼女はブームとなり、「ボカロ曲」はクラスメイトのカラオケのレパートリーをどん
どん浸食していった。普段こうしたキャラクターにまったく興味のないような子でも
口ずさむような曲がいくつもあった。

 しかし、当時私の中では「初音ミクという誰か」というよりも、「ボーカロイドと
いう新しい楽器」という認識が強く、それが塗り変わったのはある合唱曲のカバーを
聞いてからだった。

 それが「二十億光年の孤独」。作詞はおなじみ谷川俊太郎。教科書にも載っている
有名なそれに、曲を付けたものだ。

 「人類は小さな球の上で
  眠り起きそして働き
  ときどき火星に仲間を欲しがったりする

  火星人は小さな球の上で
  何をしてるか 僕は知らない
  (或いは ネリリし キルルし ハララしているか)
  しかしときどき地球に仲間を欲しがったりする
  それはまったくたしかなことだ」
  (「二十億光年の孤独」より)

 中でも、合唱曲になると「ネリリキルルハララしているか、ネリリキルルハララ
しているか、しているか」と繰り返すように聞こえてくる一節。初音ミクのカバー
でそれを聞いたとき、ああそうか彼女は火星人なのだ、と思ったのだ。

 いるようでいない、近いようで遠い火星人。タコのような人のような、さまざま
な姿で描かれるそれは、私たちが思い描く「いつか出会えるかもしれない人類以外
の何者か」のイメージの集合体だ。

 この曲を歌う時いつも悩んでいた。不確かでさまざまで、それでいて決して人間
ではない火星人を、人間はどうやって表現したらいいのだろうかと。

 初音ミクという存在は、その1つの答えのような気がした。

 火星人に、声をつけること。それは人間ではない「誰か」である彼女だったから
こそできることだったと、今でも思っている。

 生まれてから10年を迎える彼女は、人のように歌ったり踊ったりはたまた道案内
をしてみたりと、さまざまな場所で活躍している。

 いつか私たちが、本当に火星生まれの火星人に出会ったとしても、こんな風に楽
しく面白い未来が待っているのではないか――。そんな風に夢見ながら記念すべき
彼女の誕生日を心待ちにしている。

                              (編集部 村田)