“店も加害者も架空”のドタキャン騒動[ITmedia NEWS アンカーデスクマガジン 金曜日版 2018/5/18]


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◆◆◆      金曜日版:ニュース トピックス
◆◆                              2018.5.18
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 http://www.itmedia.co.jp/news/ 

ITmedia NEWS アンカーデスクマガジン金曜日版は、1週間の重大ニュースに関連して
セットで知っておきたい過去のニュースをご紹介します。


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         今週の重大ニュースを記事ピックアップ!
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【5月14日のニュースから】
■うどん屋「ドタキャン受けた」とTwitter投稿 「気の毒」と拡散したが、店も加
害者も架空
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1805/14/news058.html 
「50人分の料理を用意したら、ドタキャンされた。国際信州学院大学の教職員の皆さ
ん、二度と来ないでください」――「うどん屋」を自称するアカウントによるこんな
Twitter投稿が5月13日夜から話題になり、「気の毒」などと同情が集まった。
実はこのうどん屋も大学も実在せず、巨大掲示板「5ちゃんねる」のユーザーたちに
よる創作。架空の店舗のドタキャン問題が拡散・炎上したこの騒動について、「秀逸
な釣りネタ」などと評価する声がある一方、「実際にドタキャンに苦しんでいる飲食
店のことを思うと笑えない」「フェイクニュースで人をだますことは簡単だと証明す
る事例だ」などと批判したり心配したりする声も出ている。

【関連記事・過去記事もあわせて読む】
■私たちはネットの「デマ」や「フェイクニュース」とどう付き合うべきか
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1706/22/news032.html 
最近ネットを騒がせているものの1つに「フェイクニュース」があります。デマでも
ジョークでもなく、「悪意を持って、読んだ人を扇動するために作られたニュース」
で、SNSの発達と共に存在が無視できないものになりつつあります。
フェイクニュースは、人間の奥底にある願望や偏見、先入観をハックする仕組みだと
筆者は考えています。そのため、フェイクニュースが事実か虚構かは無関係に「思わ
ずシェアしたくなる」という誘惑に打ち勝たなければなりません。
フェイクニュースを見分ける力を付けるのは本当に難しいので、今回はその存在を
「感じる」ということに注力してみましょう。

■Twitterで人は真実よりうそを早く、多くシェアする──MIT論文
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1803/09/news073.html 
虚偽ニュースはTwitter上で真実よりも早く、広く拡散していく──。米マサチュー
セッツ工科大学(MIT)の研究者らは3月9日(現地時間)に学術誌「Science」で発表
した論文でそう指摘する。また、botよりも人間の方が虚偽ニュース拡散で大きな役
割を果たしているとも指摘。
この論文は、2006年〜2017年にツイートおよびRT(リツイート)された虚偽/真実と
検証済みのニュース記事の差分拡散を調査した結果をまとめたもの。対象としたデー
タは、約300万人が450万回以上ツイートした、約12万6000件の「カスケード」(オリ
ジナルツイートとそれに続くRTのまとまり)で構成される。これらのツイートを6つ
のファクトチェック団体が真実か虚偽かを検証したものに分け、それぞれの拡散につ
いて追跡した。

■「人工知能はうそをつく」 常識疑う力を 人狼AI研究者が描く未来
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1803/01/news044.html 
「人工知能(AI)が、うそをつく」。果たして、そんなことはあるのだろうか。
例えば、iPhoneでSiriに「青海までのルートを教えて」とお願いし、間違えて青梅ま
でのルートを教えられても、私たちは「バグかな」とは思っても「Siriにうそをつか
れた!」とは思わないはずだ。
「AIが人間の世界に入ってきたとき、果たしてうそをつかないと言い切れるでしょう
か。例えば、スマートスピーカーがフェイクニュースを流す可能性だってあるかもし
れない」。こう話すのは、東京大学の鳥海不二夫准教授。AIがうそをつき、見破り、
ときには相手を説得する――そんな人間のように振る舞うAIエージェントの実現を目
指す「人狼知能プロジェクト」を率いる。

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    	  	  コラム:「Fate/Grand Order」の功罪
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 スマートフォンゲーム「Fate/Grand Order」(FGO)の話をするとしよう。2015年
夏に配信がスタートし、国内だけでダウンロード数は1200万超。販売元はアニプレッ
クス(ソニー・ミュージックエンタテインメント子会社)で、ソニーの決算では音楽
分野の好調要因にも挙がるほど、いま勢いがあるコンテンツだ。

 FGOは、ノベルゲーム「Fate」シリーズの一作品。歴史上の偉人などの「英霊」
(サーヴァント)を呼び出し、人類史の「未来を取り戻す」ために敵と戦う。英霊は
アルトリア・ペンドラゴン(アーサー王)、ジャンヌ・ダルク、ギルガメッシュなど
実在した人物や神話の登場人物がモデル。彼らの特徴や伝説がゲームストーリーに織
り込まれている。

 その物語の文字数は100万字以上という。文庫本数冊〜十数冊の文量に、重厚なス
トーリー、独特な世界観、キャラクターを詰め込み、ファンの心を掴んでいる。

▼ソシャゲに偏見を持つ私が1日4時間プレイするほど熱中した「Fate/Grand Order」
について(井上輝一(オルタ))
 http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1703/10/news089.html

 記者もそんなファンの1人だ。人並みに世界史や日本史、神話などは好きだが、知
らない人物、物語は山ほどある。自分が興味を抱いて踏み出さないとリーチしにくい
分野は特にそうだ。FGOにはそうした世界や神話の人物が「英霊」として登場する。
探求のきっかけになるだろう。筆者は「エレキシュガル」というキャラには特に感謝
している。

 Twitterなどを見ると、そうした声は少なくない。昨年11月、ゲーム内に「セイラ
ム魔女裁判」を下敷きにしたシナリオの追加が決まると、魔女裁判を扱ったアーサー
・ミラーの小説『るつぼ』を読んで“予習”しようとするユーザーさえいた。FGOは
ユーザーの興味関心の幅を広げる、きっかけを作るゲームになっているようだ。

 一方、功績があるなら罪過もある。スマホゲームでは、ユーザーの射幸心を煽る
「課金要素」がしばしば問題視されるが、それはユーザーのリテラシーとして、ここ
では別の問題に目を向けたい。

 それはサジェスト汚染だ。

 先ほど例に挙げた「エレキシュガル」でGoogle画像検索すると、一面がFGOのキャ
ラクターで埋め尽くされる。他にも「ダビデ」「ネロ」など……。歴史や神話を学ぼ
うとする者にとって、“本来の”人物の画像、絵、壁画などは、そう簡単にたどり着
けないものになってしまった。海外では、大学講師が授業中に「ネロ」と検索したと
ころ、かわいらしいキャラクターしか表示されず困惑した――とのツイートが話題に
なった。

 ただ、こうした“サジェスト汚染”をプラスに扱った人もいる。別のゲーム「艦隊
これくしょん-艦これ-」に登場するキャラの名前の由来になった気象現象をネットで
紹介し話題を呼んだ、気象庁の研究官・荒木健太郎さんだ。

 荒木さんは、雲の一種「巻雲」をGoogle画像検索で調べたが、艦これのキャラ「巻
雲」の画像ばかりしか出て来なかった経験をきっかけに、艦これのキャラと関連した
気象現象の解説「艦これ気象学」を始めた。ネットユーザーからは「艦これだけでな
く、気象にも興味を持てるようになった」と支持する声もある。「ぜひ雲や空も一緒
に愛でてほしい」という、荒木さんの思いが通じた。

▼気象庁研究官が解説する「艦これ気象学」がネットで話題に
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1605/02/news058.html 

 FGOも潜在的に、そうした興味を抱くユーザーの下地はあるだろう。そろそろ、FGO
と関連して世界史、日本史、神話を解説する大学教授が現れるころかもしれない。
「王の話をするとしよう」などと始まる講義を聴いてみたいものだ。

                      (編集部:紀尾井町のキャスター)

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